ミトコンドリアについて
ミトコンドリア。
皆様は聞いたことがありますでしょうか?(ミドリムシとは違います。)
私たちは常に呼吸をしていますが、ミトコンドリアは、呼吸で吸った酸素を使ってエネルギーを作り出している(副産物として二酸化炭素を排出している)細胞内小器官、いわゆる「発電所」のようなものとして知られています(図1)。
発電所は石炭などの燃料を使ってエネルギーを作っていますが、ミトコンドリアは糖や脂肪を使ってエネルギーを産生しています。
つまり、ミトコンドリアを活性化することができれば、元気になる(エネルギー産生)だけではなく、体の中の糖や脂肪を分解して、肥満・糖尿病を防ぐことができる可能性があります。
また、ミトコンドリアは糖や脂肪の分解・エネルギー産生だけでなく、アミノ酸の代謝、アルコールの代謝、細胞の分裂、寿命など私たちが生きていくうえで欠かすことのできない大切なイベントに多くかかわっています(図2)。
すなわち、ミトコンドリアがうまく機能してくれれば、様々な代謝を上げ、病気を防ぎ、私たちの健康寿命を延ばしてくれると期待できます。
しかし残念ながら、実際はそう上手くはいきません。
ミトコンドリアの汚れ
実は、近年、ミトコンドリアが汚れるという現象が明らかとなり、ミトコンドリアが汚れると、ミトコンドリアの機能が低下してしまうということが報告されました(図3) [文献1]。
原因としましては、食べ過ぎ(カロリーの過剰摂取)であることが分かっております。そして、面白いことに、ミトコンドリアの汚れがメタボリック症候群を促進するということがマウスの実験で明らかにされています [文献2]。
また、はっきりと報告はないものの、様々な文献をつなぎ合わせると、加齢によってもミトコンドリアが汚れると推測できます(ミトコンドリアの汚れを取る酵素が歳とともに働かなくなるから)。ひょっとすると、中年太りは、加齢とともにミトコンドリアが汚れて起こっているのかもしれません。
そして大変残念なことに、一度汚れてしまったミトコンドリアを元に戻すことはそう簡単にはできません(でした)。太った人がやせにくい、あるいはやせたとしてもリバウンドしやすいというのは、このミトコンドリアの汚れのせいではないかと私は考えています。
汚れを落とす物質 X
私はこれまで、線虫という虫を使ってミトコンドリア機能と不妊についての研究を行ってきました。
結論からお話ししますと、受精した卵のミトコンドリアが汚れていると受精卵は成長しなくなる、すなわち不妊になるということが分かりました [文献3]。
そして大変興味深いことに、この線虫の研究の過程で偶然にも、ミトコンドリアの汚れをきれいにとってくれる物質を発見したのです。
ミトコンドリアを汚した卵は成長の途中で死んでしまいますが、その物質を与えた卵では最後まで成長させることができました [文献3]。
虫の話だから人間には関係ないと思うかもしれませんが、実際に年をとって不妊になったマウスにこの物質を与えますと受精卵の成長が良くなることが分かっています。また、不妊の話だけでなく、この物質によって、太らせたマウスの体重や脂肪が減少することや寿命が延びること、認知機能の低下を抑制すること、抗炎症効果や血圧抑制効果があること、腸内フローラのバランスを整えて心疾患を改善することも報告されています [文献4-6](図5)。
この物質を摂取することで、マウスにとって良いことがたくさん起こるようです。
健康サポートサプリメント「マイトスマート」
私たちがいろいろと調べてみると、ミトコンドリアの汚れをとってくれる物質がコメ胚芽の抽出物に多く含まれることがわかりました。健康サポートサプリメント「マイトスマート」には、このコメ胚芽由来の抽出物が配合されています。また、ミトコンドリアの機能をさらに上げるために、脂肪燃焼を助けてくれるカルニチンやエネルギー産生を助けてくれるコエンザイムQ10が含まれています(図6)。
実は、私たちの体の中にもミトコンドリアの汚れを落としてくれる物質が存在していますが、年をとるとこの物質を作ってくれる酵素の活性は低下することが分かっています。年をとってしまって元気がなくなっている方は、ぜひ、マイトスマートを飲んでその物質を補給していきましょう!そしてミトコンドリアを元気にしていきましょう!!
参考文献
1.Ghanta, S., Grossmann, R.E., and Brenner, C. (2013). Mitochondrial protein acetylation as a cell-intrinsic, evolutionary driver of fat storage: chemical and metabolic logic of acetyl-lysine modifications. Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 48, 561–574.
2.Hirschey, M. D., Shimazu, T., Jing, E., Grueter, C. A., Collins, A. M., Aouizerat, B., et al. (2011). SIRT3 deficiency and mitochondrial protein hyperacetylation accelerate the development of the metabolic syndrome. Mol. Cell 44, 177–190.
3.Hada, K., Hirota, K., Inanobe, A., Kako, K., Miyata, M., Araoi, S., Matsumoto, M., Ohta, R., Arisawa, M., Daitoku, H., Hanada, T., Fukamizu, A. (2019). Tricarboxylic acid cycle activity suppresses acetylation of mitochondrial proteins during early embryonic development in Caenorhabditis elegans. J. Biol. Chem. 294(9),3091-3099
4.Gao, M., Zhao, W., Li, C., Xie, X., Li, M., Bi, Y., Fang, F., Du, Y., Liu, X. (2018). Spermidine ameliorates non-alcoholic fatty liver disease through regulating lipid metabolism via AMPK. Biochem. Biophys. Res. Commun. 505:93–98
5.Yong Tao, Dandan Liu, Guolong Mo, Hongmei Wang, X. Johné Liu (2015). Peri-ovulatory putrescine supplementation reduces embryo resorption in older mice. Human Reproduction, Vol.30, No.8 pp. 1867 –1875
6. https://michaellustgarten.com/2021/11/28/spermidine-impacts-health-and-longevity%EF%BF%BC/